空に叫ぶ愛
ベッドの横に、友美が泊まった時のように布団を敷いた。


寝る気はないけど。



「…ゔ…ー…はぁはぁ…」



こんなに魘(うな)されているのに。私だけ安らかになんて眠れない。


空……


空の手を強く握る。私が傍にいるのだと、ちゃんと伝わるように。


少しでも安心できるように。



「…う……み……」


「海くんじゃないよ。愛だよ……」



今、傍にいるのは。

今、空を支えているのは。


───…海くんは、もう居ないんだよ。



「…ご…めん……」



でも、それは。間違いなく空のせいじゃないから。


空のせいで海くんは亡くなったんじゃないんだよ。
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