空に叫ぶ愛
「だからお願いします!空を愛してあげてください!!」


「……頭を上げて」



はぁー、とめんどくさそうに大きなため息を吐いた空のお母さん。


涙を拭いながら、ゆっくり頭を上げる。



「あなた…名前は?」


「島田、愛です」


「愛ちゃんね?……息子を大切に思ってくれて、ありがとう」



口の端を上げ、微笑んだ空のお母さん。


だけど、それは…───



「でも、私は空を愛せる自信がない。だからもう来ないで」



偽りの、

誤魔化しの笑顔だった。



「え?あ、ちょっ……」



パタンッと、虚しく閉められた扉。


───…届かなかった。


結局、私には何の力もない。


無力。
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