空に叫ぶ愛
「ごめん……。ごめん、空」


「謝るなら、最初からせんで」



空の手が拳になり、ギュウッと力が籠ったようにフルフル震えている。


怒ってるんだ。


ツーーと空の頬に涙が流れた瞬間、私の胸が大きく軋んだ。



「余計なことすんなよ!!」



そう怒鳴るように叫ぶと、空は走ってどこかに行ってしまった。


初めて、空が私を拒絶した瞬間だった。


こんなに怒った空を見るのも。

あんなに泣いてる空を見たのも。


初めてだった。


私が空を泣かせて、傷つけたんだ。


ごめん。

ごめんなさい。


本当に、本当に…───。


嫌われてもいいなんて嘘だ。
きれいごとだ。


世界中の人に嫌われても

空には、
空だけには、

嫌われたくなかった。
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