空に叫ぶ愛
「え?」
愛の間抜けな声。
「空が呼んでる……」
母さんは俺から離れて愛を呼んだ。
そして母さんの優しい瞳が俺を見つめる。
ずっと、その瞳に俺を映して欲しかった。
もしかして、
俺、本当に夢の中にいるんじゃ……
「空」
ポッカリ。俺の左手を愛の両手が包んだ。
その温もりが俺に〝夢じゃないんだよ〟って教えてくれた。
「空……。空……」
俺の名前をひたすら呼び続ける愛。
涙がポロッと溢れた。
──…俺、生きてる。
生きてる。