空に叫ぶ愛
なんて観賞にしている場合じゃない。
――パシッ…
私は原田さんの手を取り、そのままいじめっ子の輪から抜け出した。
そしてそのままズカズカと歩き出す。
「……島田さん?」
「愛でいい…」
「愛ちゃん。…ありがとう」
"ありがとう"
その言葉で心が無性に痒くなった。
なんだ…これ。
…嬉しい、のかな…?
そして私はその疑問を抱いたまま、原田さんを保健室に連れて行った。
「なんで、保健室なん?」
「膝……血、出てる…」
あいつらから突き飛ばされたとか?
まぁ、そんな感じだろう。
「失礼します」
保健室の扉を開けると目に飛び込んで来たのは女子に囲まれた…先生?
あれは、先生なのか…?
私達に気づいたのか「よし、そろそろ戻ろうかー」と言い出した先生。
「えー、まだいいやろ?」
「そうやん、そうやん」
さて、先生は何と返すか……
「予鈴なるよ?」
その言葉に女子みんなが時計を一斉に見る。それが見事にそろっていて私は吹き出しそうになった。