空に叫ぶ愛

私も時計を見ると、本鈴が鳴る5分前。


ん?…あれって……



「うわー、本当やんっ」
「やばっ!」
「帰ろう帰ろう!」



何であの人達はいちいち行動がそろってるんだろうか…?


しかも、あの時計壊れてるし。


女の子達を哀れみの目で見送っていると「珍しいね…」と聞こえて来た。



「君に付き添いがいるなんて…」


「島田愛ちゃんです!さっき私を助けてくれた私の王子様!」



お、王子様!?

何を勝手に言ってんの。



「へぇー、君が島田愛…」



眼鏡の奥の瞳が妖しく私を見る。


なに…



「あ、原田ちゃんは傷口を水道で洗ってきな?」


「あ、はい」



パタパタと足音を響かせながら原田さんは保健室を後にした。


先生を見る。


先生の名札には【水島 晴海】と書かれてあって。



「面白い転校生って君でしょ?」


面白い、転校生?


「知りません」



だって本当に知らないし。
< 41 / 374 >

この作品をシェア

pagetop