空に叫ぶ愛
私も時計を見ると、本鈴が鳴る5分前。
ん?…あれって……
「うわー、本当やんっ」
「やばっ!」
「帰ろう帰ろう!」
何であの人達はいちいち行動がそろってるんだろうか…?
しかも、あの時計壊れてるし。
女の子達を哀れみの目で見送っていると「珍しいね…」と聞こえて来た。
「君に付き添いがいるなんて…」
「島田愛ちゃんです!さっき私を助けてくれた私の王子様!」
お、王子様!?
何を勝手に言ってんの。
「へぇー、君が島田愛…」
眼鏡の奥の瞳が妖しく私を見る。
なに…
「あ、原田ちゃんは傷口を水道で洗ってきな?」
「あ、はい」
パタパタと足音を響かせながら原田さんは保健室を後にした。
先生を見る。
先生の名札には【水島 晴海】と書かれてあって。
「面白い転校生って君でしょ?」
面白い、転校生?
「知りません」
だって本当に知らないし。