空に叫ぶ愛
心のままに…
「愛ちゃん?大丈夫?」
不意に現実に戻る。壁に預けていた体重を戻し「別に…」と、冷たく若菜に答える。
若菜は安心したのか無邪気な笑みを私に見せ、水島先生の方に向き直した。
今さら友美達のこと思い出しても意味がない。
胸が痛むだけ。
それにしても……
若菜は友美に雰囲気が似ているような気がする。
若菜を見ていると友美を見ているようで複雑な感じだ。
……ううん。若菜と友美は似ているようで全然似ていない。
いじめる側の友美……
いじめられる側の若菜……
そんな真逆の二人が似ているはずがない。
──キンコンカンコン…
一限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「よし。二人は教室に戻ろうか」
「はーい!」
若菜は元気よく返事をし、保健室から出る。
何も言わずに保健室から出ようとした時「あ!ちょっと…」と先生が私を呼び止めた。