幕末異聞―弐―



「ケホッ!ゴホッゴホ…」


誰もいない一直線の廊下に響いたのは咳の音。
その廊下にいるただ一人の人間、沖田総司のものであった。
ズンズンと乱暴な音を立てながら廊下を歩いていたが、突然息が詰まる感覚に襲われ、思わず足を止めたのだ。


「ゲホッ!…はぁ。風邪でもひいたのかな?」

最近、頻繁に出るこの嫌な咳に沖田は正直うんざりしていた。
かといって医者にかかろうと思うわけでもなく、いつもひたすらこの息苦しさが去るのを待つだけだった。

「よし!行こう!!」


咳と息苦しさはすぐになくなり、沖田は何事もなかったかのように小走りで廊下を渡って行った。


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