幕末異聞―弐―
「苦しみ抜いて死ねばいい。お前ら幕府が殺してきた人間の苦しみを味わえばいいんだ!」
目が霞む。
喉から血の味がする。
解ってるさ。
自分がしてきた非道な行いが許されないことくらい…。
それでも守りたいものがあったんだ。
私を認めてくれた人たちの力になりたかった。
此処で死ぬのは武士として悔いは無い。
だけど、沖田総司としては…
視界が真っ暗になった。
既に何秒か呼吸ができない状態が続いている。
幸いなのは痛みを感じないことだ。
いよいよ死が近づいているのだ…。
音を閉ざされた筈の耳に女の人の声が聞こえた気がした。
やっぱり狂ってるんだ……