幕末異聞―弐―

「べ…別に思い込みなんて!!土方さん性格悪すぎですよ!!!」

顔を赤くしてむきになって怒る沖田を見て、更に上機嫌になる土方。

「ほっほっほ!沖田殿は医者がお嫌いか?」

「なっ!!!松本先生まで!!?」

まさかの松本も土方に加勢して勝負ありとなった。




「さて、じゃあ俺は仕事残ってるからそろそろ行くわ」


一頻り松本と二人で沖田の滑稽な姿を笑ってから、土方は立ち上がり、障子戸を開けた。

「もう二度と来ないでください!!」

ふんっと膨れっ面のまま土方に背を向ける沖田。どうやら苛めすぎてしまったらしい。

「ふん。じゃあお前も俺の部屋来るなよ?」

「上等です!!!」

「くくっ!じゃあな。先生困らすんじゃねーぞ?」

「もーっ!!しつこいです!!!」

不機嫌な沖田に追い出されるようにして部屋を後にした土方。


一時の明るいやり取りの余韻を残しつつ、彼は日の当たる縁側をゆっくりと歩く。



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