幕末異聞―弐―

「何が幸せ者や?!!ありえへんよあんなん!うちを見つけるや否や、いきなり怪我した方の腕引っ張って“おお!良さそうですな。がはははッ!”とか言って去ってくんやで?!」


「…そりゃ、少し変わってるな」

外見からは想像できない松本の奇妙な行動に、浅野は目を丸くする。

(でも、松本先生がまだ診察してるってことは、まだ完治してないってことじゃ…)

気づかれないように楓を横目で盗み見る浅野。

ふと手を見ると、片時も手放さない大太刀は左手に握られていた。


< 248 / 349 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop