幕末異聞―弐―
「今何時や?」
「そうやな…暮れ七ツ半(午後五時頃)ってとこやね」
「あかん!もう暗くて何も見えん!今日はしまいや!」
「えー!まだ少しも片付いてへんやん!」
「こんな瓦礫の山が女と子ども二人ですぐにどうにかなってたまるか!」
「二人て、ねーちゃんほとんど片手しか使うてないやん!」
「うっさいわ!とにかく今日はしまいやしまい。早よ妹とおかんの所行ったれ!」
「…ねーちゃん明日も来てくれるんやろ?」
「あんたさっきうちが役に立たないような事言ってたやん?」
「それは…い、いないよりはマシや!」
「はっ!ガキが何生意気言うてんねん」
「ねーちゃんだってガキやん!」
「ふん!お前とは質が違う」
「な、なんやて!!?」
「あーあーもうええから。早よ帰り!続きは明日にしようや」
「…へへ!ねーちゃん素直じゃないな!」
「うっさい」
「必ず来てや!」
「しつこい」
「じゃあ明日な!」
「しつこい言うとるやろ!!」