幕末異聞―弐―

「おまえもう十七なんだろ?!
いい加減ガキみたいに無闇に竹刀振り回すのやめろって!」

「組長殿に教わった通りに考えながら振り回してるつもりですがな?」

「お前それワザとやってるってことじゃねーかッ!!」

楓の上司であり、新撰組二番隊の組長でもある新八こと永倉新八と楓は気絶した隊士を大部屋に運ぶ作業をひたすら繰り返していた。


「あの〜、何で俺まで手伝わされなきゃいけないの?」

「「暇だろ?」」

「なんで勝手に決め付けてんだよ!!暇だけどさーーッ!!!」

永倉と楓の後ろで怪我した隊士を背負いながら不満を漏らすのは新撰組八番隊組長の藤堂平助。
永倉たちが丁度隊士を道場から運び出してる時に偶然通りかかって捕まったのだ。


「楓…その運び方どうかと思う」

「うるさい」

藤堂の言葉をピシャリと制した。

藤堂が疑問を持った楓の運び方というのは、後ろ手に隊士の両足を持ってズルズルと引きずるという酷いものだった。



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