幕末異聞―弐―
「…おまんは間違っちょる。おまんみたいな子を今後無くすために大人がいるんじゃ。
もう仕舞いにせんか?こげん汚い世界」
「…」
「今の世を変えられるのは大人だけじゃ。変えた世を担っていくのは生まれてくる子どもじゃ」
「…綺麗事だ。理想論を語ることなんざアホでも出来る」
「わしが実現してみせるぜよ」
「?!」
この瞬間、楓の五感がざわめき立った。そして一つの疑惑が浮かぶ。
――倒幕派の志士ではないか?
(ウチを新撰組の隊士だと知る由もない坂本は、ただの風変わりな町娘だと思って話をしているはずだ。だったら…)