素直になれなくて
「やばい…」
鞄を肩にかけ、ものすごいスピードで駅の階段を駆け下りて行く。
「新学期に遅刻なんか、ありえない」
胸ポケットに入っている携帯で、時間を確認しながら走る。
「…あ!!」
手に持っていた携帯が音を立て、地面に落下した。
慌てて携帯を拾っているとー…
[…電車が発車致します。閉まるドアにご注意くださいー…]
ホームのアナウンスが流れた。
「えぇ!?」
携帯を拾い、再び走ったが…
電車は出てしまった。
「あー…ぁ」
大きなため息が、静かになったホームに響く。