素直になれなくて
電車が発車したばかりの駅は、とても静か。
春風が心地よく、髪をなびかせる。
とりあえず、愛里に遅れるってことをメールしとかなきゃ…
携帯を開きメールを打とうとすると、リズムよく階段を下りてくる足音が聞こえた。
携帯に向けていた視線を、階段に向ける。
「…」
あ…
階段から下りてきたのは、学生服を着た男の子。
学ランの前ボタンを全て開け、ズボンはだらしなく腰ではいている。
そして、タバコ。
堂々と、制服姿でタバコを吸っていて大丈夫なのだろうか…
っていうのも、気になったがー…私は、その男の子に驚いた。