素直になれなくて
*3 同じ名前
「ね!それよりさ!」
さっきとは表情を変え、愛里がニヤニヤしている。
「あそこ見てみ」
愛里が指さした方を見る。
「…誰?」
指の先には、誰だかわからない男の子が席に座っている。
「えぇ!?夏美、知らないの?」
「うん」
「信じられない!!あんな、美男子を知らないなんて」
美男子…?
もう一度、その男の子を見てみる。
「…確かに」
真っ正面からじゃなくても、横顔だけでわかる。
スラッとした高い鼻
綺麗な肌
黒く艶っぽい髪
キラキラと眩しいぐらい。
今まで知らなかった方が不思議ー…って、自分で思ってしまう。