素直になれなくて
「あー…あの子いいなぁ」
「稀田くんの隣…毎日が癒やされそう」
クラス中から注目の的となっている。
視線が痛い…
特に、女子の視線がー…
「座らないの?」
ドキ。
「え…」
「31のクジ引いたんでしょ?」
「う…うん」
手に持っているクジをチラッと、稀田くんに見せた。
「どうぞ」
ニコっと笑って、隣を指し示してくれた。
「…どうも」
その笑顔がすごくカッコ良くて、照れる。
「全員、移動し終わったかー?SHR始めるぞー」
担任の声に、今まで立っていた生徒が慌てて席につく。
夏美も、慌てて座る。