素直になれなくて
「大丈夫。俺も、それ見て知ったから」
「それ?」
稀田くんが指をさした方を見ると、そこにはネームプレートが机に貼ってあった。
「あ…」
「ね?だから、気にしないで」
稀田くんは、ふっと笑った。
「…うん」
安心させるような…優しい表情で…
「き…稀田くんは、有名だよね」
「夏美ちゃんは、知らなかったのに?」
「う…」
「はは!ごめん、ごめん。俺なんか、有名じゃないよ」
「そんなこと…だって、カッコいいし…」
「顔だけ?」
「違っ…」
「なんて…冗談だよ。確かに、周りからは色々言われてるかもね」
「…稀田くん」
「ね、稀田くんじゃなくてさ…下の名前で呼んでよ」
「下の名前…」
稀田くんの下の名前ってー…
「良平ってさ」
りょ…う…へいー…