素直になれなくて
*4 満員電車
"…番線に、電車が参ります…"
いつも通りの時間、駅のホームで電車を待つ。
「…はぁ」
昨日は、大変だった。
[稀田くんに彼女いるか、聞いて!]
[好みのタイプも]
[夏美ちゃん、あなただけが頼みよ!]
クラスの女子に囲まれ、なかなか帰れなかった。
愛里までも…キャーキャー盛り上がってたし。
「…確かに、良平くんはカッコいいもんね」
夏美は、ボソッと言ったはずがー…
「おぃ!りょーへー」
「お前のこと、カッコいいって言ってる女いるぞ」
「え!?」
急に大きな声で叫ばれ、パニックになる。
いつの間にか、制服を着た男子が隣にいた。
よく見てみると、うちの学校の制服ではない。
でも…"りょーへー"ってー…