素直になれなくて








夏美を覆い被せる、背が高い人物。





りょうへい…くん?







「…さっきの奴も、りょうへいって言うの?」



頭上からボソッと、声が聞こえた。



低くて…


でも、懐かしい声。






手を握っている、この大きな手ー…




「…うん」








遼平くんだー…









「ふ~ん…」

「…」









その後、電車を降りるまで二人は黙ったまま。








それまで二人繋げていたのは…二人の体温で熱くなった手だけだった。








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