素直になれなくて
「きゃー!!!」
「!?」
背後から、甲高い女の人の声が聞こえた。
「超カッコいいんですけど!!」
と思ったら、稀田くんをベタベタと触りまくっている。
うわ・・・制服違うから、他校の子かな?
ここまで積極的な人、初めてかもー・・・
「おい、やめろよ」
そこに今度は、また他校の制服を着た男子生徒が割って入ってきた。
でも、その制服は見覚えがあるー・・・
「って、この間の奴らじゃん!」
「!」
やっぱり、1ヵ月前に遼平くんと稀田くんを間違えて絡んできた人だった。
「え!?もしかして、この男が同じ名前だけど遼平の何十倍もイケメンだという、噂の良平くん!?」
興奮気味に話す、女の子。
この子も、遼平くんと同じ学校なのかな?
「お前・・確かに、俺から見てもイケメンだが・・自分の彼氏をそこまでけなすか?遼平、かわいそう」
ドクン。
え・・・
「だって、本当のことじゃん。ね、こっちの良平くんはあなたの彼氏?」
「え!?」
違っ…
「そうだけど、何?」
「…え!?って…稀田く…」
グイッと肩を引き寄せられ、身体が密着している。
「羨ましいー」
「おい、行くぞ!迷惑になってる」
「えー!?」
「遼平に言いつけるぞ」
「それは、ヤダ。お邪魔しました」
ヒラヒラと手を振り、嵐が去って行ったように感じた。