素直になれなくて








「ほら、あの子・・・」

「えー!?普通じゃん」

「あんな子が、彼女なんて許せない」

「ムカつく」

最近、前よりも視線が痛いような・・・

気のせい?

「夏美!ちょっと来て!!!!」

「え・・愛里?ちょっ・・何?」

授業が終わり、下駄箱に向かって廊下を歩いていると愛里に捕まった。

「いいから!!」

グイグイと引っ張られ、どこかに連れて行かれる。


「愛里?どうしたの?こんな場所で・・・」

連れて行かれた場所は、資料室。
よっぽどのことがない限り、誰も入って来ない。

「短答直入に聞くけど」

「うん?」

「稀田くんと付き合ってるの?」

「・・・え?」

「怒らないから、本当のこと言って!!!」

ガシっと肩を掴まれ、揺さぶられる。

「本当のことも何も・・・意味がわからない」

稀田くんとは席が隣で、電車に乗る駅も時間も同じってだけで他には何もない。

…って、この間も言ったはずなんだけどな。


「誤魔かさないで!駅で、交際宣言してたって聞いた子がいるんだから」

「交際宣言・・・?あ・・・」


あの時ー・・・







< 75 / 112 >

この作品をシェア

pagetop