素直になれなくて
「ほら、あの子・・・」
「えー!?普通じゃん」
「あんな子が、彼女なんて許せない」
「ムカつく」
最近、前よりも視線が痛いような・・・
気のせい?
「夏美!ちょっと来て!!!!」
「え・・愛里?ちょっ・・何?」
授業が終わり、下駄箱に向かって廊下を歩いていると愛里に捕まった。
「いいから!!」
グイグイと引っ張られ、どこかに連れて行かれる。
「愛里?どうしたの?こんな場所で・・・」
連れて行かれた場所は、資料室。
よっぽどのことがない限り、誰も入って来ない。
「短答直入に聞くけど」
「うん?」
「稀田くんと付き合ってるの?」
「・・・え?」
「怒らないから、本当のこと言って!!!」
ガシっと肩を掴まれ、揺さぶられる。
「本当のことも何も・・・意味がわからない」
稀田くんとは席が隣で、電車に乗る駅も時間も同じってだけで他には何もない。
…って、この間も言ったはずなんだけどな。
「誤魔かさないで!駅で、交際宣言してたって聞いた子がいるんだから」
「交際宣言・・・?あ・・・」
あの時ー・・・