素直になれなくて
呼び掛けに気付いた遼平が、階段を見上げた。
ドクン。
目が…合った。
「…っ」
緊張を押し殺し、階段を駆け下りた。
「はぁ…」
さっきよりも息苦しい。
「遼平くん…」
目の前にいる遼平は、私服姿でラフな格好をしている。
「…何か用?」
ずっと目が合ったままだったが、今の一言で目が逸らされた。
「あの…」
ドクン。ドクン。
頑張れ、自分!
「私のせいで、ごめんなさい!」
勢いよく、頭を下げた。