…きっと恋してる
思い浮かぶのは、明の泣き顔。
泣かせてしまった事に腹が立ち、ため息は苛つきに変わる。
「くそっ」
荒々しく上履きを靴箱に突っ込んだ時だった。
「…柳先輩」
「あんた…何?俺を困らせて楽しいか?悪いけど今は顔も見たくない…」
あの女の子だった。
「ごめんなさい…」
彼女が謝るのも聞かず、俺は黙ってその場を立ち去った。
あの時、あのこの話なんか聞かず急いで明の所に帰っていたら。
明を泣かす事もなかった。
忘れ物を取りに行った俺は、部室の前で駆け寄ってきたあの子に声をかけられた。
「柳先輩…あの、少しいいですか?」
「何?急いでんだけど…」
部室の中に入った俺に彼女はついてきた。