ホトトギス。 《私は永遠にあなたのもの…》

息が苦しい。

呼吸がうまく出来ない…


｢ハァ、ハァ、｣


夢？

…違う。これは現実か…


苦しくなる呼吸と、段々痺れてくる手の感覚に意識がはっきりしてきて、薄ら目を開けると、最初に目に入ったのは見慣れた真っ白な天井と薄暗い闇だった…。


｢…寝ながら、ハァ、過呼吸なんて、ハァ、ハァ、｣
手が痺れる……

早く、紙袋を……

ガタガタ…

｢…どこ？ハァハァ、よく見えない、ハァﾊｧ、あった…！ハァ、｣

横になっている体をなんとか少し起こして、手探りでいつも常備しているベッドサイドのにある紙袋を掴んだ。



｢ハァハァハァ、…ハァ、ハァ、ﾊｧ……｣


しばらしく、紙袋を口に当て呼吸を落ち着かせる…


苦しい…

ハァハァ、このまま死んでしまいそう…


｢ﾊｧ、あんな夢見るからだ、ハァ、ﾁｸｼｮー。ﾊｧ、｣


久しぶりに見た悪夢は、冷たい目をした母の姿とぬくもりのない手をした父の夢だった…


｢…ハァ、あれから何年たってるっと思ってるのよ、ﾊｧﾊｧ、私は、いつまで苦しまなきゃいけないんだろう……。｣


夢のせいで、思い出したくない過去が頭の中を目の前をちらついて余計に呼吸が苦しい。

人間は、心が苦しい時ほど色々な事を思い出す…。