人こそ芸術 part1
-8人目・9人目-
僕のディナー
栞との約束で今夜はイタリアンレストランでディナー。
「綺麗なお店だね」
栞は久々のディナーに少しはしゃいでいる。
「栞の為に頑張ったんだからね?」
含み笑いで言う。
はにかんだ栞は左手で髪を耳に掛ける。
今日はお洒落で胸元の大きくあいたワンピースが栞にとても似合っている。
店内は淡いオレンジ色の光に包まれている。
その所為か栞がとても美しく見える。
いや、栞は美しいのだ。
丁度、地下室は空いている。
でも栞を地下室に招待するのはまだ早い。
僕は栞を家まで送り、帰宅した。
空になった硝子張りの部屋を見て寂しいと思う。
なるべく早く新しい“動くコレクション”を置いておきたい。
次は誰にしようか?
僕の周りには沢山の美しい肉体を持つ芸術作品が居る。
人間の手では作ることの出来ない自然の美しさ。
遺伝子の絶妙な組み合わせでしか生まれない作品。
それが人間。
そして“美”を司る女性。
自然とは素晴らしい。