人こそ芸術 part1
受話器が戻ったのを確認して栞がオフィスに入ってきた。
「どうだった?」
栞は僕の手をそっと握る。
「意思は固かったよ・・・」
僕は首を横に振る。
「いい人だと思ったのに・・・急にどうしちゃったんだろう?」
「・・・わかんない」
僕は栞の手を握り返す。
大橋美鈴は何が不満で病院を飛び出したのだろう。
病院側がその答えを知るのは極めて難しい。
大橋美鈴の件で緊急会議が行われた。
その結果、彼女の意思を尊重する事になった。
一体何処へ行ったのだろう。