人こそ芸術 part1
僕の地下室
「具合はどうですか?」
よく冷えたコップ一杯のミネラルウォーターを飲み干し、少し落ち着いた小山るうに聞く。
「なんとか・・・。目黒先生、お恥ずかしいところを見せてしまってすみません」
あまりろれつが回らない小山るうは頭を下げた。
「意外でしたね、小山さんが・・・」
僕は苦笑いをした。
「目黒先生?・・・面白い部屋ですね」
酔っている小山るうには僕の声は聞こえなかったのだろうか。
小山るうは焦点が定まらない状態で部屋を見回した。
今、僕等が居るのは地下室にある硝子張りの部屋。
「それより、あんなに酔いつぶれちゃうのはいつもなんですか?」
僕はあえて部屋の話には触れなかった。
「初めて行ったバーだったんですけど・・・。つい調子に乗っちゃって」
小山るうは片手で口元を押さえ大きなアクビを一つ。
「今夜は泊まっていって下さい」
「迷惑じゃ・・・」
「小山さんをご自宅に送る方が大変ですから」
「じゃぁ、一晩だけお願いします」
まだ酔いの醒めない小山るうを硝子張りの部屋に残し、僕は地上に上がった。