人こそ芸術 part1

僕は抱き付く小山るうの背中に腕を回さないし、舌だって動かさない。

小山るうはそんな僕の体を触り始めた。

髪、頬、腕、胸、腰、そして遂に体中を這う手が僕の股間に触れた。

瞬間、僕は小山るうの手首を掴んだ。

「セックスなんかしても鎖なんか外しませんから」

「私本気よ?」

上目遣いで言う。

「嘘は駄目です」

僕の言葉を聞き、舌打ちをして僕から離れた。

「畜生、テメー何が目的なんだよ!?」

病院で見る綺麗な小山るうからは想像しがたい言葉遣いだ。

「美しい体です」

それだけ言うと僕は背を向け扉を開ける。

「はぁ!?意味わかんねーんだよっ!!」

扉を閉める直前まで怒鳴り声が聞こえた。

< 54 / 97 >

この作品をシェア

pagetop