人こそ芸術 part1

「修、これが最後」

栞が手招きしたのは右手だった。

「えっ!!?」

「ゆっくり動いてるのが水槽に映ってたよ」

栞は目を細め笑いながら言う。

今気が付いた。

誰も居ない所に手招きをするより、忍び足で移動していた僕の方がよっぽど変な人だと。

僕は可笑しくなって笑い出した。

栞もつられて笑い出す。

周りの人からしたら変な二人だと思って見ているかもしれない。

「もう修は馬鹿だなぁ」

笑い疲れた頃に栞がニコニコしながら言った。

「あー可笑しかった」

まつ毛に付いた涙を拭いながら言う。

「そろそろ帰ろっか」

栞は笑顔で頷く。

熱帯魚を三種類と餌を二つ購入した。

栞を家に送り届けた後で僕は病院へ向かった。

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