人こそ芸術 part1
黄金の液体が注がれた華奢なグラスと小山るうのカプセルで乾杯した。
硝子同士が触れ合う音が、いつも以上に大きく感じられた。
小山るうの二度と開く事の無い瞼を見つめる。
一気に飲み干し、しゃがみ込んでグラスを冷たい床に置いた。
立ち上がり小山るうのカプセルに優しく撫でる。
視界が歪む。
僕の頬に暖かい物が伝うのが分かった。
「・・・うっ・・・くっ・・・」
僕はカプセルにすがり付きながら小山るうの足元に崩れ落ちた。
「ぅわあぁぁぁー」
僕は泣き叫んだ。
悲しみを拳に変えて白い床に当たる。
悲しみを声に変えて白い天井に放つ。
悲しみを涙に変えて想いを流しきる。
それほど僕にとって苦しい決断だったのだ。
“結婚は人生の墓場”
もしかしたら僕にとって、そうなのかもしれない。
でもこれからの栞との人生、そんな風に思いたくない。
僕は栞を心から愛してる。