人こそ芸術 part1
「新郎、貴方は内田栞を妻としていかなる時も愛する事を誓いますか?」
神父の声に自分の世界から引き戻された。
「誓います」
「新婦、貴方は目黒修を夫としていかなる時も愛する事を誓いますか?」
「誓います」
教会内に響きわたる栞の声。
「誓いの口づけを」
いよいよだ。
栞と向き合う。
ゆっくりと純白のベールをめくり、頬を桃色に染めた栞を見つめる。
ゆっくり顔を近づける。
始めてのキスをする時以上に胸が高鳴っているのがわかる。
栞が目を瞑り、僕も目を瞑る。
二人の唇が重なる。
二人の愛の誓い。
栞はそう思っているだろう。
この場で誓う事はそれしか有り得ないのだから。
勿論、僕も愛を誓ったが、もう一つ場違いな誓いを立てた。
それは、栞を10人目の僕の作品としてコレクションに加えること。
栞は一筋の涙を流した。
僕はそれを拭ってあげる。
そしてもう一度、どちらからともなく唇を重ねた。
互いの愛を確かめるように。