『スキ』
誰にでもぢゃなかった。

誰にでもいいなんて


憂は言ってなかった。


学校飛び出して雨上がりの空眺めてふとっ、思った。


『憂に会いたい。

憂、ごめん弱くて会いにいくね』


神に祈る様に手を翳して、空を見た。


『あそこに憂がいる』


あたしはまた駆け出していた。


ずっとずっと向き合えなかった合わなかった…―

行けないかった場所。

草木に囲まれた場所にある小さな墓の前に…―


…yuu…と刻まれた墓を抱き締め泣いた。


『憂、憂がいなきゃあたしだめだよ~

だから一緒に逝くよ寂しくないよ』


あたしは一歩一歩踏み出す崖のソバで空を眺めた最期に…―


空を見て死にたい。

あたしは飛んだ…―――


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