『スキ』
「舞…………またいつかな。今は何も言えない。

ごめんしか言えない」



片手を上げて去りゆく真の後ろ姿を眺めた。


真っ白のジャッケットを来て、黒のTシャツを着た真ちゃん。

大人びた表情をしていても、みんなまだ子供なんだよ。


今度出会えたら笑って会えるかな…―?


何年経ってもあの事件は、忘れられないものだけど…忘れていかないといけないのかな?って思うんだ。


辛い過去…―


払っても払っても消えない過去を背負って


生きるのは苦しいから……―


『真ちゃんッッ…!!


絶対帰って来てよね!?

あたし達何年経っても待ってるからねッッ!!』


大きく叫んだ その言葉は響いて止まない。


真ちゃん………―



あたしは涙を拭った。肩に置かれた手は優しい光の手。


握った指先から思いが伝わる。


理子と花が、あたしに抱きつく様に泣いた。


小さく息をして泣いた。

千が小さく言った。


「ごめん、舞……―

ごめん」


千は悪くないよ、と言おうとしてまた泣けた。

何度もあたし達は、真ちゃんの背中が小さくなるまで抱き合い涙を流した。

いつか出会おう……―


そう決意して。。



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