『スキ』
裏庭まで来た。

人気のない裏庭は、もう 秋の紅葉間近を迫り葉に色がつき始める。


芝生の上に寝転んで…―

空を眺めた。


『あたしねー、光にスキって言ったんだ。


もちろん両想いだと思ってたのに…あたしの勘違いでってか、あたしのスキは違うって意味わかんないし…』



涙だか鼻水だかわかんないけどぐしゃぐしゃになった顔を伏せた。


「はい、ティッシュ、とハンカチもあるけどいる?」

花が素早く差し出す手を強く握った。


『うん、ありがとう』


「一枚100円だけどね」


フフ、と笑ったあたし…


『たけーよ、レンタルかいっ』


「冗談、笑った良かった」

花のさり気ない優しさ、暖かくて心地よい。


人を笑わせるテクニシャン。


「舞、光君に告白した時何かあった?」


光に告白した時…


何か…―あっ?

『千と合った。っで辞書返しに来て、んで…スキって言っちゃった癖で』

あーー、思いっきしそれや~ん!!


過去に戻りたい。


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