ヒメゴト
「会長…顔近いんですけど。」
「…黙らなきゃこの口塞ぐよ?」
そう言って、わたしの唇を冷たい親指で撫でた。
背中がゾクリとし、なんだかジリジリと頬が焼けるように熱い。
「…や、やだ。」
わたしが嫌がって顔を背けようとすると、満足そうに笑う会長。
「…ゆき。」
だからっ!そんな風に馴れ馴れしく名前で呼ばないで。
もう嫌だ…こんなやつ。
グイッと、わたしの後頭部を強引に固定すると、会長は意地悪そうに笑った。
会長の甘ったるい香りは、わたしの頭をクラクラさせる。