ヒメゴト
「あ~、ゆきが赤くなってる!」
奈々がおもしろそうに笑う。
「…ぜーったい嘘。うちらに隠し事したって無駄だからね?」
「…うっ。」
どうしよう…このままじゃ絶対言うまで離してくれないよね。
「ねぇ美月?
その……キスってさ、普通は好きな人としかしないよね?」
恐る恐る聞いてみる。
だって…おかしいじゃない。わたしと会長は、別に付き合ってるわけでもないのに。
「はぁ?当たり前でしょ。
好きでもない人とキスなんて…考えただけで嫌だなぁ。
って!もしかして…?」
「嘘っ?…ゆき?」
わ~、二人の視線が痛い。そして、とてつもなく顔が熱い。
「もしかして、矢野千秋と?」
わたしは小さく頷いた。
「「えぇ~っ!」」
二人の声が保健室に響く。