ヒメゴト
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り響いて、先生が教室を後にすると、急に賑やかになる教室。
「ねぇ、ゆき!」
「ん?」
前の席の親友、美月が満面の笑みで話しかけてくる。
美月、なんかいいことあったのかな?
「今度の土曜ね、淳弥と映画行くんだけど、今日服買うの付き合って~、お願い!」
そう言って、美月は顔の前で手を合わせた。
淳弥くんは美月の彼氏。隣のクラスで、野球部のエースらしい。
そっかぁ…でも、
「あ~ごめん。…今日放課後、代表委員ある。」
今日は、生徒会と委員長と部長による、代表委員会があるんだよね。
「そっか、ゆき委員長なんだもんね。」
「ほんとごめんね。」
わたしが手を合わせて謝ると、美月はいいよと言って、いつも三人一緒の、奈々の元へと向かった。