ヒメゴト
わたしは手持ち無沙汰で、何をしたらいいのかわからず、とりあえずブレザーのポケットに両手を突っ込んだ。
冬の風は冷たい。冷たいと言うより頬に突き刺さるように痛い。
「ねぇ…なんでそんなにわたしにかまうの?」
わたしは前を歩く会長に呼びかけた。
「ん~なんでかな。ゆきのこと気になるから?」
会長は振り返りながらそう言った。
何…その笑顔。バカじゃないの?からかないでっ。
わたしは立ち止まっている会長を追い抜かした。
「…嘘。本気にした?」
「するわけ、ない。」
本気にするわけないじゃん…だって会長はりえこ先輩と付き合っているんでしょう?
それに、わたしのこと気になってるとか…ありえない。