ヒメゴト
「たまには、我が儘言ってもいいのよ?」
「…みつ、き。」
美月の優しさに、視界が滲んだ。
「あ~、もう!いい加減泣き止みなさいよ。」
その荒々しい言葉とは裏腹に、美月はブレザーからハンカチを取り出して、わたしの目に押し当てた。
美月のそういうところ、すごく好き。大好き。
「美月、ありがと…大好き。」
「ば、バカじゃないの。他に伝える相手いるでしょ!」
そういう美月の顔は、真っ赤だった。
「…う、ん。」
そうだ。…ちゃんと、会長に好きだと言おう。そして、諦めよう。