猫になって君にキスをして
「なんだ、猫か」
真治はそう言うと、そばにあったナプキンでチーンと鼻をかんでから、ビールに口をつけた。
微妙に量が減っていることには全く気づいていないらしい。
わずかだが、猫毛も浮かんでいる。
それにも気づいていない。
「にゃにゃ」
オレはラーメンの器をちょんと叩き、早く食えと真治を見た。
こんなに伸びちまってるぞ、せっかくの美味いラーメンが。
「ああ……せっかくの美味いラーメンがこんなに伸びちまって……」
まったくその通りだ。
しかし。
コイツはここのラーメンがこんなに美味いという事を、いったいいつから知っていたのか。
なんでオレを誘わなかったんだ。