猫になって君にキスをして

何だか腹が立ったので、真治の背中を猫パンチしてやった。

……はずだったのだが、

爪も出ていたらしいオレの前足は、「愛は勝つTシャツ」を突き抜けて、真治の中途半端に柔らかい背中に突き刺さった。


「いでっ!」


驚いた真治は猫背をピンと伸ばし、そのままむせ込んだ。


「ごへっ! ごほっ!」


苦しそうだった。

すまん、真治。

悪気があったわけでは無い。


ようやく咳が治まった真治の顔を覗き込み、「にゃ」と謝まろうとした。

が。


「にゃ!」(ぶっ!)


オレの「にゃ」は、笑いに変わった。


覗き込んだ真治の鼻から、綺麗に麺が飛び出していたからだ。

しかも両穴から。

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