猫になって君にキスをして
急に忙しくなった店主が、まだ鼻から麺を出したままの真治に声をかける。
「兄ちゃん、あんたのおかげだわ。久しぶりだ、こんなに人が入るのは。今日はオレのおごりだ。ビールでもなんでも好きなだけ飲んでいけ」
「は?」
何がなんだか分からない真治は、鼻から出した麺を揺らしながら周りの客に視線を送る。
その姿に再び爆笑する客達。
「ん……? オレの顔か……?」
恐る恐る自分の顔に手を持っていった真治は、鼻の異物に気づいた。
スーッと引っ張る。
びろーんと伸びるラーメン。
「ええっ?!」
片方無事摘出。
もう片方も無事びろーんと摘出。
「マジで? 超恥ずかしいんだけど……」
「にゃにゃにゃ!」
(マジウケル!)
オレは再び腹を抱えて笑った。
そんなオレを真治が不思議そうに眺めている。
「お前までオレにウケてんのか」
「にゃ」
オレは真治の肩をポンと叩いた。