猫になって君にキスをして

信号が青になった。

周りの人間も一斉に歩き始めた。

オレも、その流れにのった。


小走りしないと、後ろから蹴られてしまいそうだった。

前からも、当然、人がやってくる。


前と後ろからやってくる敵を、身体をよじりながら交わす。

もはや体験型ゲームの世界だ。

めっちゃ怖い。

でも、何だか面白い。


「にゃっ」


前からやってくる人間の、股の間をくぐったりもした。

わざと足を踏みつけてやったりした。

白い靴に、鼻血をつけてやった。

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