猫になって君にキスをして

突然、婆さんの手が、オレの首根っこをつかんだ。


「んにゃ!」
(ちょ!)


そして、紙袋に押し込まれた。


「にゃにゃ~~」
(どんだけ~~)


おい、婆さん!

オレ、自分で乗れるって!


バタバタと暴れるも、引きずられる紙袋の中で、オレは逆さまにもがくだけだった。


それにしても何だ、この紙袋の中の匂いは。

煮物……の匂いじゃねーな。

婆さんの匂いの代名詞とも言える……線香か?


ん、そうだ。

こりゃ線香の匂いだ。


それに混じって、タバコの匂いもする。

オレは暴れながらも、逆さまになった背中に当たるものの匂いを当てていた。

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