猫になって君にキスをして
11。美しい金歯

11。美しい金歯
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ホームに、ゴゴゴ……と、振動が伝わってきた。

次第に大きくなってくるその音は、

猫になったオレの耳毛をカサカサと揺らした。


「にゃー」(うう…)


その音は、前足と後ろ足を伝い、脳みそまでも震わしてくる。

その不快感を少しでも軽減させようと、オレは婆さんの草履の足に前足を乗せた。


なんとなく予想はしていたが、待ってましたとばかりに婆さんの手がオレの頭にのった。


「にゃ……」(お、重……)


そのまま杖代わりになってしまった。


杖になるなら、振動を我慢していたほうがよかった。

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