猫になって君にキスをして
「にゃ…」(気持ち悪)
乗り物酔いをする犬猫の気持ちがなんとなく分かった。
ずっと変に揺れている。
「にゃ…」
(マジ、酔ったらどうしよう…)
不安になりながらも、オレは婆さんと一緒に空いている席に腰を下ろした。
猫が、だ。
猫が長いすに腰掛けているのだ。
おかしな話だ。
まあ、いいだろう。
客はそれほどいないし。
赤ん坊を抱いた若い母親に、競馬新聞を広げて盛り上がっている中年オヤジの2人組、
中学生らしき男子のグループと、分厚い眼鏡をかけてこれまた分厚い本を読んでいる女、
そして、さっきのピンヒールのギャルもケータイ片手に乗り込んでいた。