猫になって君にキスをして

「んにゃにゃ!」


3mくらい転がった。

床に背中をつけたまま、じたばたと足を動かして、ようやく立ち上がる事が出来た。

が、急カーブで再び体勢が崩れた。

右前足と右後ろ足だけで身体を支えた。

浮いた左前足と左後ろ足を降ろそうとして力を入れたが、電車は再びカーブに入った。


「にゃ~にゃ~」(あ~れ~)


さらに転がった。

2mくらいか?


「にゃ」(くそ)


猫には慣れたが、電車には慣れない。

転がった先で再び立ち上がり、今度は直ぐにうずくまって重心を低くした。


「にゃー」(ふぅー)


一つ息を吐き、前を見る。


「にゃ」(あ)


目の前に、恐ろしく尖ったピンヒールがあった。


なんだよ!

さっきのギャルじゃねーか!


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