猫になって君にキスをして
そんなオレには気づかず、ケータイを食い入るように見つめているギャルは、かなりの勢いで親指を動かしている。
時折、「ちっ!」と舌を鳴らしながら。
「にゃ」
どんなメールをやり取りしてるんだ?
他人のメールを盗み見する機会など、そうあるもんじゃ無い。
気になったオレは、そっと立ち上がり、電車の揺れに踏ん張りながら、そしてギャルのピンヒールが降ってこないように横目でその足を睨みながら、ギャルの隣に飛び乗った。
メールに夢中のギャルは、そんなことにも気づいていない。
やっぱり「ちっ」と舌を鳴らし、今度はベロンと開いた腹のへそ辺りをボリボリと掻き始めた。
なにやら、イラついてる。
「にゃにゃ」(どれどれ)
オレは身を乗り出して、ギャルの手元を覗き込んだ。